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大学の実学化 [社会]

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最近の大学の実学化は酷いもので、ついに専門職大学まで登場した。
大学に対し、実学重視の教育を求める声が強まっている。だが、卒業してすぐに役立つような知識は、すぐに役立たなくなる。

19世紀初頭、ドイツを代表する知識人で、ベルリン大学教授だったフリードリヒ・シュライエルマハー(1768~1834年)は、実学重視の大学制度変更案に強く反対した。東京大学名誉教授の山脇直司氏は、シュライエルマハーの主張についてこう記す。
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〈学問のための施設は、学問的認識を目指す者同士の「自由な内的衝動」によっておのずと生まれてくるものであり、国家が率先して創り出すものではない。ナポレオンを最高指導者とする中央集権国家は、本質的に実利を追求する機関であり、実利の範囲でしか学問を見ない。そうした国家にとって重要なのは、知や文化の質ではなく、実用的な情報や技術の量である。それに対して学問的思索は、「個別的な知がどのように連関し、知の全体の中でどのような位置を占めるか」を認識しようとする。シュライエルマハーによれば、一般に学者が国家に取り込まれれば取り込まれるほど、学問共同体は国家の御用機関に堕し、学問共同体は純粋に学問的な思索を追究すればするほど、結果的に国家の質も高まる。〉(山脇直司「X シュライエルマハー」加藤尚武責任編集『哲学の歴史 第7巻 理性の劇場──18~19世紀 カントとドイツ観念論』中央公論新社、2007年、599ページ) 中世神学に「総合知に対立する博識」という格言がある。
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歴史、文学、哲学なんて科目は、どんどん姿を消している。代わりに増えたのが「自己啓発」、「就職対策」、「資格取得による単位認定」の科目。卒業論文も消滅した所も多くなっている。もう大学というよりも専門学校だ。あまりの酷さに閉口する。
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